フルスタック オブザーバビリティの相違
シスコによる「フルスタック オブザーバビリティ」の定義は、チームが、アプリケーションのパフォーマンスをアプリケーションのテックスタック全体と結び付け、そのパフォーマンスをビジネスメトリクスに関連付けることを可能にするソリューションです。
フルスタック オブザーバビリティ ツールは、IT チームがアプリケーションの問題が発生した場所と理由を知ることで、より優れたアプリケーション体験を提供できるようにします。また、ビジネスへの影響に基づいて、実行するアクションに優先順位を付けるためにも役立ちます。
フルスタック オブザーバビリティは、入力(アプリケーションおよびインフラストラクチャのスタック)と出力(ビジネストランザクション、ユーザー体験、アプリケーション パフォーマンス)をモニターし、領域を横断した相関関係および依存関係のマッピングを提供します。これにより、接続体験がチーム間で共有され、アプリケーション パフォーマンスとビジネスコンテキストのサイロ化が解消されます。また、チームには、アプリケーションのビジネスパフォーマンスに影響を与える問題に関するアラートも送信されます。これには領域を横断した相関関係および依存関係も含まれ、パフォーマンスの問題の発生源となっている領域と理由をチームが正確に把握できます。
アプリケーションのビジネスコンテキストを観測することで、チームは、ビジネスと体験に最も大きな影響を与える問題に優先順位を付け、効率的に対応することができます。その後、チームは、パフォーマンス、最適化、およびセキュリティのスタック全体に対してアクションを実行できます。
フルスタック オブザーバビリティが必要な理由
最新のアプリケーションの開発サイクルやシステムの複雑さのために、アプリケーションのパフォーマンスに関する問題の根本原因を把握することが困難になっています。各領域を個別にモニターするだけでは不十分です。複雑な環境を適切に管理し、もれなく可視化するには、フルスタック オブザーバビリティが必要です。
フルスタック オブザーバビリティでは、テックスタック全体が、顧客のアプリケーション パフォーマンス メトリクスやビジネストランザクション、そして最終的にはビジネスの重要業績評価指標(KPI)に関連付けられます。
このビジネス成果への関連付けが重要です。調査に回答した人のほぼ 4 分の 3(73%)が、IT のパフォーマンスとビジネス成果を結び付けられないことにより、ビジネスに悪影響が及ぶことを懸念しています。優れたデジタル体験を提供し、デジタル トランスフォーメーションを推進するには、フルスタック オブザーバビリティをリアルタイムにビジネス成果に結び付ける機能が不可欠です。
フルスタック オブザーバビリティの利点
フルスタック オブザーバビリティの利点は、次のとおりです。
- ビジネス効果を改善し、ビジネス体験を向上させる:問題を特定するまでの平均時間と問題を解決するまでの平均時間を短縮し、アプリケーションの稼働時間とパフォーマンスを向上させ、より優れたエンドユーザー体験を実現します。
- ビジネス運営を最適化し、コストを削減する:アプリとインフラの依存関係をマッピングすることで、過剰なプロビジョニングを防止し、コストを削減します。
- ビジネスリスクを軽減する:アプリケーションの開発からランタイムまで、アプリケーションのセキュリティを強化します。
フルスタック オブザーバビリティによって次のものが提供されます。
- フルスタック オブザーバビリティの可視性:複数の領域と複数のチームにまたがるデータをリアルタイムで収集して統合し、相互に関連付けることで、システムパフォーマンスの全体像を把握します。アプリケーション インフラストラクチャ全体にわたるリアルタイムの情報を活用して、サイロ化を解消し、複数の IT チームのコラボレーションを実現し、ワークフローを合理化します。
- フルスタック オブザーバビリティのインサイト:アプリケーション パフォーマンスの根本要因をより迅速に特定し、リソース割り当てを最適化し、アプリケーションのコストとパフォーマンスの関係およびそれらがエンドユーザー体験に与える影響をより明確に把握します。
フルスタックのアクション
- フルスタック オブザーバビリティ アクション:長期にわたって収集されたデータに基づいて、優先順位付けされたアプリケーションの推奨事項を取得することで、アプリケーションの拡張性を向上させるとともに、アプリケーションの開発サイクルを迅速化します。
フルスタック オブザーバビリティによって可能になるユースケース
フルスタック オブザーバビリティは、次の 3 つの柱にわたるユースケースを可能にします。
パフォーマンス
- ハイブリッド アプリケーションのモニタリング:多くの場合にモノリシックでホストされており、従来型のインフラストラクチャとハイブリッドクラウドを活用する、従来型のアプリケーションとハイブリッド アプリケーションのパフォーマンスをモニターします。
- 最新のクラウドネイティブなアプリケーションのモニタリング:パブリッククラウドやプライベートクラウドでホストされるクラウドテクノロジーを活用する、多くの場合にマイクロサービスベースで分散型のクラウドネイティブ アプリケーションのパフォーマンスをモニターします。
- 顧客デジタル体験のモニタリング:アプリケーション体験、その基礎となる依存関係、およびビジネス効果に関する実用的なエンドツーエンドのインサイトを提供します。
- アプリケーション依存関係のモニタリング:管理対象と管理対象外の(サードパーティが提供する)アプリケーションサービスと API のパフォーマンス(サービスで使用するインターネットやクラウドネットワークのパフォーマンスを含む)を確保します。
最適化
- ハイブリッドコストの最適化:パブリッククラウドでは必要な分だけを支払い、オンプレミスのアセットの使用を安全に増やすことでコストを削減します。
- アプリケーションリソースの最適化:オンプレミスとパブリッククラウドのワークロードに対するリソースの割り当てを推測で行わなくて済むようにすることで、アプリケーション パフォーマンスを改善および確保します。
セキュリティ
- アプリケーションのセキュリティ:実稼働環境のアプリケーションランタイムの脆弱性を積極的に特定して阻止することにより、ビジネスリスクを軽減します。